2007年05月14日掲載

もうダメだと思った時
自分の中の限界を超えた
将来の可能性が広がった
一冊の本が僕の人生を変えた・自分のやりたいことを見つけた
海外経験もなく、むしろ海外に興味もなかった僕が海外に目を向けるようになったのは、中学生の時にたまたま読んだ黒柳徹子さんの「トットちゃんとトットちゃんたち」という本がきっかけ。その本には家族の明日のご飯代のために体を売る少女、大人の都合で銃を取り殺し合う少年等、当時の僕には到底考えられなかった発展途上国のリアルな子供達の生活が描かれていました。「こんな日常が世界にもありえる」ということに大きなショックを受け、「海外に出てもっといろいろな世界が見たい」と思うようになりました。
そんな中、あるドキュメンタリー番組で、地雷を踏んで片足を失くした少年が義足をつけて人並みに歩行しているのを見ました。義足がどのように作られているのか不思議に思い、いろいろ調べていくうちに「医用工学」という学問に出会ったんです。医用工学では薬や手術といった医療では解決できないことを工学の知識を使って、人工心臓や義手といった形で解決することが出来るから、医学工学なら医学にある限界を超え、たくさんの人々を助けることが出きるのでは?という可能性を感じ、絶対に大学では医学工学を勉強したいと決意しました。日本では医用工学を学部レベルで提供していた大学が少なく、諦めきれずオーストラリアに留学することに決めました。
どんなに辛くても夢を叶えるためには
「絶対に医用工学を学びたい」と決意して来たオーストラリアですが、実は一度だけ全てを諦めて日本に帰ろうと思ったことがあります。大好きだった祖母が亡くなった上、初めて海外で一人で住むストレスから来豪4ヶ月目に胃潰瘍になり、ご飯を食べることも歩くこともままならず、4ヶ月で15キロ体重が減りました。毎日不安で眠れない日々が続き、もう日本に帰ろうと思った時、もうこの世にはいない祖母の事を思い出しました。脳のウィルスにかかり僕の事も忘れてしまった彼女ですが、ある時一瞬だけ記憶が戻り、「あんた、どんなことがあっても人より努力して絶対夢を叶えなさいよ!!」と言ってくれたんです。この言葉を思い出すと、どんなにしんどくても不思議とまたがんばろうってエネルギーが沸いてきます。
毎日の小さな積み重ねが大きな未来を決める
自分が携わる研究で人の命を間接的に救うことのできる研究職にも興味はあり、将来的には研究職に就きたいと思っていましたが、研究者は患者さんと一番遠いというのも事実。夏休み中に行った3ヶ月の就職活動の中で、自分の本当にやりたいことを考えた結果「ドキュメンタリーで見た片足の少年を助けたい」という原点に戻り、もっと患者さんに身近な職種に就きたいと再確認しました。将来は医療機器がまだまだ充実していない発展途上国の医療の発展に貢献できるようなプロジェクトエンジニアとして患者さんの生活の質も改善していきたいです。
どんな人でも夢が高ければ高い程夢の途中で孤独や挫折を味わいますが、最終的に夢に近づくか遠のくかは自分次第。毎日の小さな積み重ねが習慣となりそれが人格や顔にも表れてきて、いい出会いや運を引き寄せることもできるのだと思います。もちろん楽しいことばかりではありませんが、「必ず夢を叶える」という強い意志を持って諦めず自分の夢を達成したいです。
大学で所属している野球サークルのチームメイトと
大学に入った頃から続けているQUTの野球サークルがオーストラリア全土の大学が参加するUniゲームで優勝した時の写真。自分の力だけでなくかけがいのない友達と協力し合って大きな事を達成できた。
インタビュー後記
医用工学という自分の本当にやりたいことを見つけた清史さん。一つ一つ言葉を慎重に選んで話す姿からは医学工学への強い熱意を感じました。理想を胸に世界を飛び回る彼を見るのが楽しみです。
- 坂梨 清史さん
- 長崎県出身 26歳
- 生活費:$220/週(住居費$140、食費他$80)
- 私の留学自己採点
- 100点 - やりたいことができているし、日本にいたら出来なかったことも出来るチャンスに恵まれているから
クイーンズランド工科大学
芸術、建築環境工学、商学、教育、栄養、インフォメーション・テクノロジー、法律、科学の8つの各学部のもとに大学と大学院の130を超える多数の学科コースが設けられている。3つのキャンパス間を移動するためのスクールバスも利用できる。2月と7月が学期開始月だが、中には10月11月開始のコースもある。
主なコース: ビジネス・経済・会計/デザイン/建築・設計/科学/生物学/環境/コミュニケーション・メディア/心理学/スポーツ/医学・薬学・歯学/IT・コンピュータ関係/教育/健康・福祉/文学・社会学・国際・政治/芸術/法律/工学/看護